【コラム】まずは社会を見るというのも選択肢の一つ

あなたの前にある選択肢

 「人生とは選択であり、選択とは他の可能性を捨てる事」

 一見、著名な人物の名言のように見えますが、この言葉は「もやしもん」というマンガに登場する結城蛍という登場人物の一言です。彼は造り酒屋の息子としての自分の人生を考える中で、そんなことをつぶやいたのでした。

 就職活動、転職活動とはまさに、あなたの人生における大事な選択です。そして可能な範囲で選択肢を広げた上で、本当に「これが自分の人生だ」と思えるものに特化していくことが、人生を楽しむ上で重要です。

 実際私自身も転職活動を経て複数の企業を経験し、沢山の人に出会い、沢山の土地に行った上で、このWEBサイトを立ち上げ、この文章を書いています。

 「伝統文化を盛り上げよう」など何かをしたいと思った時、あなたの目の前にはどれだけの選択肢があるのでしょうか。若ければ若いほど多くの選択肢がある、というわけでもありません。

 生きていく中でスキルを得る事によって新たな選択肢が増えたり、年齢を重ねたことによって選択肢が減ったりするのが人生です。


まずは大手企業に就職するというのも手

 あなたが何かをしようと思った時に、あなたの目の前に現れた選択肢が思ったより少なかったり、自分が一生やる決意をいまいち持てない場合、もしあなたが経歴的に大手企業に勤められる可能性があるのであれば、まずはそこの総合職や営業職に入るという手段もあります。

 大手企業に一旦入っておくというのは、自分の人生を考える上で4つのメリットがあります。

①人材育成の余裕がある

 新卒採用者というのはしばらくは会社にとって戦力ではありません。もちろん、先輩社員から割り振られた作業をすることはありますが、自発的に仕事をとり、組み立て、完成させるということができるまでは時間がかかります。

 大手企業は会社に余力があるので、新卒採用者を十分に教育することができます。社会人としてのマナーや常識はもちろん、社会や業界への理解を深めた上で働くことができ、新卒者は社会人として良いスタートダッシュをきることができます。

②視野と人脈が広がる

 大手企業であればあるほど扱う案件が大きく、様々な企業と関わることができます。

 世の中には実に様々な企業があります。人と同じように全く同じ企業と言うのは存在せず、それぞれ企業文化が違えば商品の強みも違います。そして日々独自の強みを持とうと努力しているのです。

 大手企業では他社のそういった情報を得やすく、世の中の多様さに気づくことでしょう。それは自分自身の視野を広げることへと繋がります。

 また、仕事を通して出会った人、同僚で親しい人が多ければ多いほど、あなたが自分がやりたいことを始めようとしたときに、アドバイスをしてくれる人も多いことでしょう。

③情報が最新である

 ここでいう情報とは②でいう社会全体のことや業界のことだけでなく、働き方についてです。大手企業であればあるほど、働き方も新しく、タスク管理や工程管理やスケジュール管理の方法が洗練され、無駄やミスを削減する努力をしています。

 管理に使っているシステムも新しく、社員同士の情報交換などもしやすい環境を作っています。一方で中小企業の中には共有フォルダのエクセルや、場合によってはオフィスのホワイトボードのみでそういった情報を共有している場合もあります。

 最先端の職場環境の作り方というのは、実際に働いてみなければなかなか知ることが出来ない情報です。

④経歴に箔が付く

 世の中は学歴社会と言われますが、それと同時に職歴も社会がその人に抱く印象において重要な要素です。

 経歴で人を判断することには批判もありますが、全く知らない人に対してどういった人かを判断する時に、出ている大学や勤めていた会社である程度大枠を掴もうとするのは仕方のないことです。履歴書の1行目に大手企業があるというのは、その後に何かやりたいことに特化したキャリアチェンジをするときもきっと追い風になることでしょう。

 何かをやろうと思った時に自分に武器が無い状態でやることはありません。人生は自分の経歴を育てられるくたいには、そこそこ長いのです。


仕事には業種と職種がある

 もし、伝統文化に特化したいと思った時、最初から職人になると決めたわけでなければ、自分が伝統文化を盛り上げる上で何をするのかを考え、そのスキルを磨けるところで磨いておくということも大事です。

 例えば、伝統文化について普及・啓発をしようと思った時に、最初からそれに特化した仕事にする前に、大手企業でPR業務、プレゼン等を経験しておけば、あなたは伝統文化の業界に入った時に即戦力となります。伝統文化に関する産業がまだやっていないことも、他の産業の成功例を事例に新たに取り組むこともできるかもしれません。

 仕事の選び方は業種だけでなく、実際にあなたがその世界で何をするのか、「職種」選びも重要です。せっかく希望の業種を選んでも、あなたに向いていない職種であれば働き方に無理が生じることでしょう。

 人は職種では特化してもその職種の経験とスキルを武器に、業種は後からでも変えることができます。例えば営業職が技術職に異動するのは同じ会社の中でもなかなか大変ですが、営業職が営業職として別の業界に行くということはよくあることです。

 伝統文化をはじめ、あなたが頑張りたいと思っているフィールドがあるのであれば、あなたが得意な働き方を見つけ、その能力を伸ばしてから飛び込むというのも、選択肢としてはありなのです。

 大事なのはあなた自身が楽しく、幸せな人生を歩むことです。

 何かやりたいことがあるあなた。自分のキャリアプランを考え、どこで成長し、どのタイミングでその能力を活かしてやりたい世界に飛び込むか、一度考えてみるのも良いでしょう。