【コラム】履歴書の書き方と面接の心得

 就職、転職にあたって非常に重要な存在となる履歴書。

 履歴書は採用活動を行っている企業に対し自分自身のことをPRする書類であり、面接に進む前に自分自身のことを紹介するものです。書類選考のみで候補者を大幅に絞り込む企業も多く、志望者にとっては「こんな紙で自分の何が分かるんだ・・・」と思いたくなることもあるかもしれませんが、採用者も人ですので、沢山の履歴書の中からいい印象を受けた人でなければ「会いたい」という気にならないのは仕方のないことです。

 もちろん、学部や大学の偏差値である程度絞り込んでいる場合もありますが、どうすれば「この人に会ってみたい」と思わせる履歴書になるかをまずお話をしたいと思います。


履歴書は自分の人生のプレゼン資料

 履歴書は各項目に従って指示されたことを書くのではなく、形式の定められたプレゼン資料です。従っていきなり書くのではなく、「何をアピールするのか」を考えた上で書く必要があります。


 ・あなたは何を考えて生きてきましたか?あなたがサークルやバイトを選ぶうえで軸になった思考はありますか?

 ・あなたは周りの人からどういう人だと言われますか?「こういうところがいいところ」、だと言われるような長所はありますか?

 ・あなたはサークルや部活動に入部していましたか?その中であなたはどういうキャラクターでしたか?

 

 そういったことを考えた上で、「ここをアピールして話そう」という軸を定めてから、それをストーリーにして書きおこしていきます。


 ちなみに、私は学生時代にボランティア活動をしている人間でした。しかし、ただ「ボランティアをしていました。」ではなんのアピールにもなりません。

「ボランティアを通して様々な地域に行った。そして人口が少なくても、地域交流の仕組みができている地域ほどボランティアの受け入れ体制ができており、住民も元気だった。そこから地方活性に貢献する仕組み作りに興味を持ち、自分なりに調べていった。」

 というストーリーを描きました。そして、具体的なエピソードを絡め、

「周囲から熱血系の人間だと言われる。」

と言って自分の性格もアピールしました。


 ここで大事なのはストーリーに「まとめる」という作業です。

 私の大学生活はほかにも空手部で副主将を務めたり、アルバイトもしていました。しかし、そこは書く欄が指定されていたり、面接で聞かれたりしない限りは積極的には書きませんでした。

 あくまで限られた文字数、時間の中での自分のPRです。PRに沿わない内容は必ずしもすべてを一生懸命書く必要は無いのです。


手書き?ワード?

 就職活動において、これまで就活生の重いタスクとなっていた履歴書の手書き作業。

 ほとんど書き終わっているというのに、残り数文字でミスをして全部書き直す人や、ミスをしないように先に薄くシャーペンで書いて、その上からボールペンでなぞる人などもいて、何十社という会社にエントリーするために何十時間もかけて履歴書を書く作業をするというのは、就職活動における一つの試練のようなものでした。

 しかし何度か転職活動を経験した私の所感では、特に指定が無い限りはWord形式で問題無いというのが結論です。実際に転職活動では全てWord形式で履歴書を作成しましたが、それで合否に響いたということはありません。

 また、現職では私も会社の人間として面接を行っていますがWord形式の履歴書の方が見やすく、むしろ手書きの方が読みにくくて面倒な印象です。実際に面接のときもWordの履歴書であれば読みながらその場で質問なども出せますが、手書きだと読みづらいこともあり、その部分でストレスを感じることもあります。

 ただし、手書きで書くことを当然の礼儀としている企業も中にはありますので、その点については情報を集め、特に問題がなければ特に字の綺麗さに自信が無い人は積極的にWordを活用しましょう。

 時間をかけるべきは履歴書を書く時間ではなく、書く内容を考える時間と面接準備です。


面接はプレゼンであり、営業活動

 面接は自分自身のことをアピールするプレゼンです。プレゼンは質問の受け答えが正確にできているかだけでなく、相手に自分から与える印象が大事になってきます。

 人の第一印象は3秒で決まると言われています。その要素は見た目、声、話す内容と言われています。緊張して顔が赤かったり、汗をかいていたりするのは問題ではありません。なるべくくたびれていないリクルートスタイルで、はっきりと相手が聞こえる声の大きさで臨みましょう。

「見た目だけで人を判断するのか。」

と、不満に思う人もいるかもしれないですが、面接は限られた時間で自分自身を売り込む営業タイムです。その前提でベストを尽くすことが、初対面の人間(採用者)にいい印象を持ってもらうためには不可欠なのです。また、ここでそのくらいのことができないようでは、会社に入ってからも他の企業や取引先にいい印象を与えないと思われてしまいます。

 そして営業に大事なのは営業マンも相手を見極める事。

 実際に仕事でも、特に大きな商談では「組んでいい相手なのか」を見極めるのも営業の仕事になります。「対価をきちんと払ってもらえるのか」「いいように利用されないか」「トラブルが起きた時にお互い協力して解決できるか」を営業は判断しているのです。

 同じように、「企業カルチャーが自分に合っているか」「社員を成長させる文化がある会社か」「社員が協力しあう関係になっているか」などを自分の事をしっかりアピールした上で、相手からどんどん聞き出しましょう。


失敗談

 採用面接において、よく聞かれるのが、

 「失敗したことはありますか?」

 「あなたはどんな失敗をしたことがありますか?」

という失敗に関する質問です。

 就職活動、転職活動では基本的に自分の「いいこと」「良かった出来事」などばかり話しますが、採用者はその人のひととなりを知りたいと思っていますので、当然失敗したことも知りたいと思っています。

 では失敗談として何を話せばいいのでしょうか?

 私がよくしていたのは部活動での失敗です。

「試合前なのに、課題が忙しくて練習が十分にできず、いいパフォーマンスを出せなかった。しかし、思い返せば課題の工程の管理ができておらず、進め方に計画性が無かった。先に全体を把握し、タスク消化の計画をたて、少しでも練習時間を確保するべきだった。」

 このように、改善の可能性があることを示すのが重要です。

 会社が従業員に求めているのはもちろん失敗は少ない方がいいに決まっていますが、修正する力です。修正できるということは、その人が社会の中でしっかりと成長できる人であるというこを示しています。

「この人は会社でもし失敗しても修正できるな。」

と思ってもらうことが大事です。

 よって、取り返しのつかない失敗、あまりにも単純なケアレスミス、友人との喧嘩ではなく、次につながる発見ができたようなエピソードを面接前に思い出しておきましょう。


 忘れてはいけないのは、採用する人も人間だということです。

 あなたが採用者だったらあなたの何を見るか、何を知れば採用したいと思ってもらえるかを考えて、履歴書の作成、面接に臨みましょう!